絵本紹介

絵本の紹介

絵本を通じて、お子さまと素敵な時間を過ごして欲しいと願っています。
私自身も娘が小さい頃に、娘と一緒に絵本を楽しみ、時に勇気づけられたり教えられたりしたように思います。
開院に際し、同じ小児科の先輩や同僚の先生方にたくさんの絵本をプレゼントして頂きました。勤務医の頃に、絵本の紹介をしていたことがあります。その頃の紹介文をホームページに載せました。ご興味のある方は是非ご覧になって下さい。 今後も、素敵な絵本を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願い致します。

中島 章子

絵本について

現在、小学校3年生になる娘がいます。
娘が小さかったころ、夜寝る前に絵本を読んであげていました。
最近は彼女自身でも本を読みますが、時々夜寝る前に、「ママが読んで」と言うこともあります。
絵本や本を通じて一緒に笑ったり発見したりと、お子さんと楽しい時間を過ごすことができるのは、私達親にとっても、とてもほっとする時間であり、一生の宝物になるはずです。

お子さんへの絵本の読み聞かせ、いかがされていますか。
忙しい毎日だと思いますが、家事の合間のほっとした一時に、お昼寝の前、夜寝る前など、お子さんを膝の上に抱っこして、はたまた一緒に布団にごろんと横になり、絵本を読んでみませんか。

これから、毎月おすすめの絵本をご紹介していきたいと思います。
もしよろしかったら、お子さんと一緒に読んでみませんか。     

平成21年7月 中島章子

おすすめ絵本

バムとケロのにちようび

7月になりましたが、このところ毎日梅雨空ですね。
早く、真っ青な空がみたい!
でも、こんな雨の日を楽しくしてくれる絵本をご紹介します。
私が大好きなバムとケロシリーズの中から。

バムとケロのにちようび
島田 ゆか/作・絵 文渓堂 1994年 1575円(税込)

ケロちゃんは、とってもやんちゃ。
雨の日曜日。
バムは仕方がないので家で本を読もうと思いました。
だけどその前に、ケロちゃんが散らかした部屋のおかたづけ。
バムがせっかくきれいに掃除したばかりの部屋に、ケロちゃんはドロだらけの足で、「ただいま!」再び家はドロドロに。
「あらあらケロちゃんたら。」バムは、そんなケロちゃんを温かいお風呂に入れ、その後、一緒にたくさんのドーナッツを作ります。
今日は雨なので、ドーナッツを食べながら、ゆっくり読書でもしましょうと。
そして、お気に入りの本を探しに屋根裏へ。そこには。。。

バムとケロのおうちが、とてもかわいい!
お風呂やキッチン、そしてお皿やコップまで、とても凝っていて何度も見返しては新たな発見がある絵本です。子供には、もちろん大人気の絵本ですが、日々我が家のケロちゃんと奮闘しているママにとっても、こんなことあるある!と共感して思わず微笑んでしまう温かい絵本です。

雨で、公園に行かれないそんな一日。
おやつを用意して、ぜひお子さんと一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。

しろくまちゃんのほっとけーき

今回は、30年以上もたくさんの子ども達に愛され、読み継がれている
「こぐまちゃん えほん シリーズ」の中からご紹介します。

しろくまちゃんのほっとけーき
わかやま けん/作・絵 こぐま社 1972年 800円+税

わたしほっとけーきをつくるのよ。
しろくまちゃんが、おかあさんと一緒にほっとけーきをつくります。
ふらいぱんに、ほっとけーきのたねを、ぽたあんとのせてから、どろどろ ぴちぴちぴち
ぷつぷつ やけたかな まあだまだ
しゅっ ぺたん ふくふく くんくん ぽいっ はい できあがり!
こどもは、このページが大好きです!
リズミカルな擬態語が大好き!
こどもには、発音がちょっと難しいと思いますが、

何度も読んでいるうちに、覚えてしまいます。一緒に声を合わせて、どろどろ ぴちぴちぴち ぷつぷつ やけたかな まあだまだ しゅっ ぺたん ふくふく くんくん ぽいっ はい できあがり!
ここまで大きな声で読み終えると、まるでほっとけーきを本当に自分で焼きあげたかのような、達成感にあふれた笑顔になります。

言葉を話し始めたばかりの2歳の娘と一緒にこの絵本を読みながら、いつかこんなふうに二人で本物のほっとけーきを作りたいなと夢みていた日を思い出します。最近では、一人で上手にホットケーキを作ってくれるようになった娘。
きちんとぷつぷつしているのを確認してから、しゅっ ぺたんと上手にホットケーキをひっくり返しています

追)
久しぶりにこの絵本を開いて、こぐまちゃんとママの耳が、たまごみたいだねと笑い合っていたのを思い出しました。

10ぴきのかえるのなつまつり

夏休み真っただ中ですね。
子供達にとって、プールや花火、夏祭りと楽しいことがたくさんですね。
今回は、夏におすすめの一冊をご紹介します。

10ぴきのかえるのなつまつり
間所ひさこ/作・中川道子/絵 
PHP研究所 1988年 1,173円(税込)

ひょうたんぬまに住むカエルの兄弟は、おたまじゃくしの時にいたずらっこに捕まえられて、ある家の庭に連れて来られました。成長してカエルになってから、みんなで森の沼に逃げて帰ってきたのです。ふるさとに戻ったカエル達は、もうすぐ沼の夏祭りがあることを知ります。夏祭りにはどじょうじいさんが演奏する水太鼓がなくては盛り上がらないと、沼のみんなは困っています。実はどじょうじいさんもいたずらっ子に捕まえられて、カエルの兄弟が逃げ出してきたあの家の庭にいたのです。カエルの兄弟は、みんなで力を合わせてどじょうじいさんを助けだそうと、ひょうたんぬまを出発します。さあカエルの兄弟は、無事にどじょうじいさんを助け出せるでしょうか。
そして、沼の夏祭りはどうなるのでしょうか。

カエル達の冒険に、子供はハラハラ・ドキドキ。
最後の夏祭りのページは、涼しげで楽しげで、ワクワクします。
「綿菓子が食べたい!かき氷も食べたいね!」と夏祭りに思いを馳せて、話が弾みますよ。夏祭りに行く計画のある方は、ぜひその前に読んでみて下さい。

でんしゃにのって

もうすぐ夏休みも終わり、学校や幼稚園が始まりますね。
夏休みはいかがでしたか。
でんしゃにのっておでかけされたご家族も多いと思います。
今回は、「でんしゃにのって」をご紹介します。

でんしゃにのって
とよた かずひこ 株式会社アリス館 1997年 1,365円
                          

うららちゃんが電車にのって、出かけます。
一人でおばあちゃんのうちまで行くのです。
ガタゴトー ガタゴトー 
「つぎは、わにだーわにだー」
駅の名前が動物で、駅にとまるたびに動物たちが
「はい おじゃましますよ。」と電車に乗り込んできます。
はじめはすいていた電車が、だんだん混み始め、
うさぎが乗って来ましたが、「おや、まいいん・・・」
ぞうさんが、「どうぞ、どうぞ」とうさぎを膝の上に座らせてあげます。
次にへびが乗って来ると、再び「おや、まいいん・・・」
でも、へびはだいじょうぶです。「はい、しつれい、しつれい・・・」
網棚へとするする上っていきます。
そのうち、うららちゃんはうとうと、眠ってしまって。。。

こどもは「はい おじゃましますよ。」「おや、まいいん」「しつれい、しつれい。」
こんな言葉に大喜びです。わに、ぞう、くまといろいろな動物が出てきます。
くりかえし読んでいると、「はい おじゃましますよ。」とこどもがかけ声をかけてくれます。
一緒に、声に出して読める楽しい一冊です。

リサ ママへのプレゼント

だいぶ涼しくなってきました。 今回は、母の日のお話で、かなり季節はずれではありますが、私が大好きなリサとガスパールシリーズから、心温まるお話をお届けしたいと思います(^_^)

リサ ママへのプレゼント
アン・グッドマン/ぶん ゲオルグ・ハレンスベーン/え
石津ちひろ/やく
ブロンズ新社  1200円+税
                  

もうすぐははの日。
リサは、ママにプレゼントするおさらを作っていました。ところが、できたおさらをともだちの
ガスパールに見せようと持ち上げたら、粘土がふにゃふにゃになってしまい、大失敗。
代わりのすてきなプレゼントを見つけるために、スーパーマーケットへ行きました。
ママの喜びそうなものが、いっぱいです。
でも、みんなちょっと高すぎる。一生懸命探していると、
「みて!あのカフェオレボウルすてきじゃない?」
リサは、ママへのプレゼントにぴったりのカフェオレボウルを見つけましたが。

こどもからのプレゼントに、心が温かくなることがあります。
絵や、手紙。そして園で見つけてきた葉っぱやどんぐりの実などなど。
誰かに優しい気持ちを届けることの喜びを、自然に学んでくれているのだなと思い、嬉しくなります。
こどもは、大好きだということを、とても素直に一生懸命に伝えてくれます。
私たち大人も、あなたが大好きよ!と、こどもたちを抱きしめて素直に伝えられるようにありたいと思います。

だるまちゃんとてんぐちゃん

今回は、水曜日の午後に外来をして下さっている加◯宏◯先生
おすすめの一冊です。1967年発行なので、40年以上のロングセラーです。
きっと、こどもの時に読んでもらった記憶のある方もいらっしゃるので
はないでしょうか(^.^)

だるまちゃんとてんぐちゃん
加古里子 さく/え
福音館書店 743円+税

だるまちゃんは、お友達のてんぐちゃんが持っている
うちわやぼうしを見て、「いいものを持っているな。」と思い、家に帰って似たものを探します。
大きいだるまちゃんが出してくれるものは、確かにうちわやぼうしだけれど、でもだるまちゃんがほしいものとはちがいます。結局、だるまちゃん自身のユニークな発想で、これだというものを見つけます。
最後にだるまちゃんは、てんぐちゃんのトンボがとまる鼻がうらやましくて、大きいだるまどんにおねだりします。しかし、鼻と花を勘違いした大きいだるまどんは、赤くて長くてトンボでも蝶でもハチでもとまれる花をたくさんあつめてきてくれたのです。
「ちがうよ。ちがうよ。」とおこるだるまちゃんに、
「 ごめん。ごめん。これはおおまちがいのとんちんかん。」と、あやまる大きいだるまどん。
小さいだるまちゃんのために、家族みんなでおもちをついて、かたちのいい長い鼻をつくってくれました。果たして、この鼻にトンボはとまるのでしょうか。。。

だるまちゃんの思いつきが、子供ならではの発想で、とてもユニークです!

お父さんが絵本を読まれることも多いと思います。
我が家では、この絵本はお父さんが読む絵本でした。小さい娘は、この本を手にとると必ず父親のところに持っていきました。小さいだるまちゃんとてんぐちゃん、そして大きいだるまどんを上手に演じわけるので、楽しいようです。先日も4歳の姪っ子が、大変喜んで聞き入っていました。姪っ子は、だるまちゃんが見つけたうちわやぼうし、はきものを絵の中から探しては指さししていました。

ところで、最後に鼻と花を勘違いした大きいだるまどんは、おこって泣くだるまちゃんに、あたまをかきかきあやまります。そして、「そんなのは無理、無理。」 とは言わずに、小さいだるまどんのために、家族みんなでおもちをついて、希望をかなえてあげるのです。
もし私だったら、この大きいだるまどんのように、「 これはおおまちがいのとんちんかん。」 なんて言って、もう一度こどもと向き合ってあげられるかしら。
せっかく苦労して、こんなにたくさんの花を探してきてあげたのにと怒ってしまうのではないかしら。
親としては、大きいだるまどんの、ふところの大きさにつくづく感心してしまいます。
こんなお父さんだからこそ、小さいだるまちゃんは、のびのびした自由な発想の持ち主に育っているのかもしれません。大きいだるまどんのように、ふところ大きくおおらかに、こどもの好奇心を満たすための手助けができたらなと思います。

ちょっとだけ

今回は、あかちゃんが生まれてお姉ちゃんになった
なっちゃんのお話です。まだ小さいご兄弟を育てていらっしゃる
お母様は、自分の時間がないほど忙しく、また上のお子さんのことで
心配なことも多いと思います。
頑張っていらっしゃるお母さん達にエールを送りたいと思います(^^)v

ちょっとだけ
瀧村有子さく  鈴木永子え
福音館書店 800円+税

なっちゃんの おうちに あかちゃんが やってきました。
なっちゃんは おねえちゃんになりました。
パジャマに着替えるとき、うまくボタンがとまらないので、ママに手伝ってほしいけれど、ママはあかちゃんのお世話で忙しそうです。
なっちゃんは、じぶんひとりでがんばって、ちょっとだけ上手にボタンをとめることができました。
「ママ、“ちょっとだけ”だっこして・・・」
公園でひとり遊んで帰ってきたなっちゃんは、ねむい目をこすりながら、ママにお願いします。

「“ちょっとだけ”じゃなくて いっぱい だっこしたいんですけど いいですか?」
なっちゃんは ママの においを いっぱい かぎながら、いっぱい だっこしてもらいました。

最後のページでママにだっこされているなっちゃんの絵が印象的です。ママにだっこされているなっちゃんの安らかな表情。ママの少し丸みをおびた背中から、ママもまた、温かいなっちゃんの体を抱きしめて、ほっとしているように思います。

まだ上のお子さんが2-3歳で、二人目を出産されたお母様から、よく上のお子さんの赤ちゃんがえりについて、相談を受けます。どうしても赤ちゃんに手がかかるので、上のお子さんが自然とがまんしていることも多いかもしれません。けれども、この絵本を読むと思います。お兄ちゃんお姉ちゃんになった子には、試練もあるかもしれないけれど、きっとこの機会が成長のステップにもなるのだなと。

ぜひ赤ちゃんが眠っている時は、お兄ちゃんお姉ちゃんに、たっぷりママを独占させてあげて下さい。
ママのにおいをいっぱいかいで、いっぱいだっこしてもらうと安心するはずです。
忙しくて疲れているママにも、抱っこの時間は、癒しの時間になると思います。
ママも、わが子のやわらかい頬にふれ、わが子の汗のにおいをかいだら、疲れやイライラ、心配などいろいろな思いが、すーっと落ち着いてくると思います。

実は、私もまだよく娘を抱きしめています。もう大きくて重いですし、そのうち娘に嫌がられてしまいそうですが。疲れた時、娘を抱きしめると、ほっとします。あたたかい気持ちになります。
だっこは、子供にもママにも大切な癒しの時間だと思います。

だるまさんと

久しぶりのご紹介になってしまいました。
今回は、とてもシンプルな『これぞ究極の絵本』という絵本です。

だるまさんと
かがくい ひろし/さく
ブロンズ新社 850円+税

登場するのは、だるまさんといちごさん、ばななさんにめろんさん。
だるまさんがいちごさんとぺこっ、ばななさんとぽにん、めろんさんとぎゅっ。
最後にみんなで、うーんとふんばって。。。

もし私が、もっと娘が幼い時にこの絵本に出会っていたら、きっとだるまさんたちになりきって、 娘と一緒にぺこっ、ぽにん、ぎゅっとポーズをとって、大笑いできただろうなと思います。

「ねえねえこの絵本、おもしろいよ。」と言って、3年生の娘に見せると大笑いしていましたが、さすがに一緒にぺこっ、ぽにん、ぎゅっはしてくれませんでした。

でも2歳ぐらいのお子さんだったら、絶対親子で一緒にまねできて、大喜びするだろうなと思います。
ぜひ、試してみて下さい! きっと楽しいですよ。
でも最後をまねしたがった時は、お父さんの出番かな。肩車でもしてもらって「ぴーす!」にしましょうか(^_^)v

絵本からうまれたおいしいレシピ

今回は、絵本を題材にした料理の本をご紹介します。
冬休み、クリスマス、お正月、楽しいことが続く季節ですね。
お子さんと一緒に、絵本に出てくるお菓子や料理を作ってみませんか。

絵本からうまれたおいしいレシピ
こどもと一緒にごはんづくり
きむらかよ 著  e-MOOK 宝島社
1,360円 (税込み)

絵本の紹介とともに、その中に出てくるお菓子や料理のレシピが載っています。
写真や絵がとてもカラフルで楽しい本です。これまでにご紹介してきたバムとケロや、ガスパール、そしてみなさんご存知の「のんたん」も登場します。
冬休みの一日、お子さんと一緒に絵本の中に出てくるレシピにチャレンジしてみては、いかがですか。
飾り付け、盛り付けは、けしてレシピどおりでなくてよいと思います。
むしろお子さんの自由な発想にまかせてみるのも楽しいものです。
子供の斬新なアイデアに感心することも、しばしば。
是非親子で楽しい時間を過ごして下さい。
同じシリーズで“絵本とお菓子の幸せな関係”や“SELECTION”も発行されています。
そちらもどうぞ。

ルラルさんのバイオリン

今回は、ほのぼの絵本 ルラルさんシリーズの一冊をご紹介します。

ルラルさんのバイオリン
いとうひろしさく
ポプラ社 1,200円(税別)

これがルラルさんです。
そして、これはルラルさんのバイオリンです。
ルラルさんは、お父さんからゆずり受けたバイオリンを、1年に1度か2度こっそりと手入れします。
そして手入れをしたら、すぐにしまってしまいます。
なぜなら、バイオリンを上手に弾けないからです。
ところが、今日はねこに見つかってしまいました。
「弾いてみてください。」とねこにたのまれて、久しぶりにバイオリンを演奏してみることに。
ギコギコキーキー。ギコギコキーキー。
この音を聞くと、なんだかおしりがムズムズします。
おかしな音を聞きつけて、庭にみんなが集まってきました。
みんながおしりをムズムズさせて。。。

これがルラルさんです。
そして、これがルラルさんの○○です。
ルラルさんシリーズでは、お話がこのフレーズから始まります。
私はこの始まりが、大好きです(^.^)
ルラルさんと動物たちの、ほのぼのとした楽しいお話は、この他にもいくつか出ています。
ルラルさんのごちそう、ルラルさんのじてんしゃ、ルラルさんのほんだな、ルラルさんのにわ。
気に入った方は、ぜひこちらも読んでみて下さい。

だれかしら

先日、保健所の1歳6ヶ月健診で、「絵本を読んであげても興味を示さないのだけれど、大丈夫でしょうか。」 という質問がありました。
お子さんの様子をよく聞いてみると、「音の出る絵本は自分から持ってきて遊んでいる。絵本を一緒に読んであげていると、まだページが終わらないうちに、次のページへと、ぱらぱらめくってしまう。」とのことでした。
個人差があると思いますが、まだ1歳6ヶ月ですとお話の内容に集中して見聞きできるお子さんは少ないと思います。むしろ、ページをめくることや、絵と一緒に繰り返されるリズミカルな言葉や音が楽しい時期でしょう。ですからストーリーを楽しむというより、絵や色、くりかえされるフレーズ、擬態語、擬声語を一緒に楽しむ絵本を選らばれるのがよいと思います。
また、そこに書いてある文字を読むのではなく、お子さんの興味に合わせて、「ねこさんいるね。かわいいね。」「 うさぎさんだね。お耳が長いうさぎさん。ぴょんぴょんぴょん。」というような言葉かけでもよいと思います。

だれかしら
多田ひろし作 / 文化出版局 / 630円(税込)

「トントン」「だれかしら」
いろいろな動物が、お誕生日プレゼントを持って訪ねて来てくれます。今度はだれかな。

ばいばい

まついのりこ作 / 偕成社 / 630円(税込)

1歳くらいで覚える「ばいばい」が、
たくさん出てきますよ。
「こんにちは。」「ばいばい。」
一緒に手を振って「ばいばい」してみませんか。

ぶーちゃんとおにいちゃん

診察中、泣いている下のお子さんに、「大丈夫だよ」と優しく声をかけるお兄ちゃん、お姉ちゃんや、「お兄ちゃんお姉ちゃんにもシールを持って行く」と真剣にシールを選ぶ弟さん、妹さんのかわいい姿を、外来でよく目にします。
なんとも微笑ましく、兄弟っていいなと思います。もちろん、けんかもあるでしょう。そしてお母さんも、「もういいかげんにしなさい!」といいたくなることもあるでしょう。
でも、この絵本を読むと心が軽くなるかもしれません。
なぜなら、兄弟はけんかもするけれど、きっとこの絵本のぶーちゃんとおにいちゃんのように、みんな本当はお互い大好きなのよねと思えるからです(^_^)

ぶーちゃんとおにいちゃん
       島田 ゆか作
白泉社 定価1200円+税

ぶーちゃんは おにいちゃんが だいすき。
だから いつも おにいちゃんの まねばかり。
遊びもご飯もおにいちゃんのまねをして。
あんまりぶーちゃんがしつこいので、おにいちゃんは外へ出ていってしまいます。
外で遊ぼうと、サッカーボールを思いっきりキックしたら、おかあさんの鉢植えにボールが当たってしまいました。さあ、どうしよう。おにいちゃんは、ぶーちゃんをつれて急いで家に戻ると。。。

以前にご紹介したバムとケロシリーズの作者、島田ゆかさんの作品です。
色彩豊かな絵がかわいく、細かなところにも遊び心が一杯の絵本です。

ものがたりの最後は『やっぱり ぶーちゃんは おにいちゃんが だいすき!』
で終わっていますが、私はこの後にもう一文隠されているように思います。
『やっぱり おにいちゃんも ぶーちゃんが だいすき』と。

せんたくかあちゃん

私がこちらに来てから早いもので1年が経ちました。
診療はもちろんのこと、これからも「楽しく育児を!」をモットーに、様々な角度から、子育てについてお伝えしていきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

さて今回は、せんたくが大好きな肝っ玉かあちゃんとかみなりさまのお話です。

せんたくかあちゃん
さとう わきこ さく・え 
福音館書店 定価800円+税

せんたくの大好きなかあちゃんがいました。
「きょうもいい天気だねえ。」 かあちゃんは、くるくるうでまくりをして、ぱっとカーテンをはずすと、太いうでで、たちまち洗ってしまいました。
かあちゃんは、家中のもの全てを洗い終えると、今度は、犬やネコ、そして子供たちまで、たらいにほうりこんで、ごしごしじゃぶじゃぶ。
洗い終えると、庭とむかいの森の木になわをはり、そのなわに、せんたくものをどんどんほしました。
「せんたくものをほしたあとは、ラムネを飲んだみたいにすっきりするねえ。」
ちょうど、そこへかみなりさまの雲がやってきて、
「すげえ すげえ。へそが いっぱい ほしてあるぞ。」
かみなりさまは、おへそをめがけて、ピカッ バリ バリ バリッ とおちてきました。
せんたくかあちゃんは、おへそをとりにきたかみなりさまを、たらいにほうりこみ、ごしごしじゃぶじゃぶ。あれまあ。かみなりさまはしわくちゃで、目も鼻も口もなくなってしまいました。
かあちゃんは、こどもたちに言いました。「かみなりさまの顔を描いておやり。」
出来上がった顔は。。。

せんたくかあちゃんと、おへそをとりにきたかみなりさまのユーモアあふれるお話です。
空から落ちてきたかみなりさまをも洗ってしまう、せんたくかあちゃんは、まさに肝っ玉かあちゃん。
何事にも動じないたくましさに、母の強さを感じます。
いいおとこに顔を書きかえてもらおうと集まってきた大勢のかみなりさまに、「 よしきた。まかしとき。」という、かあちゃんの最後のせりふ。
ぜひ、大きな声で言ってみませんか。
私達も、どんと構えて、何事にも動じない肝っ玉かあちゃんになれそうです。なりましょう!
でもおせんたくは、ほどほどに (*^_^*)

ティモシーとサラのピクニック

新緑の美しい爽やかな季節になりました。外で思いっきり遊ぶのにとてもよい季節です。
ご家族でお弁当を持ってピクニックも楽しいですね。お外ピクニックはもちろん楽しいですが、
今回は「家の中でのピクニックもお勧めですよ。」という絵本をご紹介します(^.^)

ティモシーとサラのピクニック
芭蕉みどり 作・絵
ポプラ社 定価:1,260円 税込み

朝起きると、ふたごのこねずみのティモシーとサラは、
とってもうきうきしていました。
なぜなら、今日は楽しいピクニック。
お父さんが大きなサンドイッチを作ってくれました。
お母さんが見つけておいてくれた、素敵な場所へ行きました。
小川のそばに、シートを広げ、お弁当を食べようとした時です。
ポツ! 雨が降ってきました。大きな木の下で雨宿り。
けれども、雨はどんどん強くなってきます。仕方なく、家へ帰ることになりました。
家に戻ったふたりは、がっかりです。
泣いているサラに、ティモシーが傘をさしかけ、いいました。
「ほら、テントだよ。」 「キャンプみたい。」
そこへ、お母さんが声をかけました。
「 下でピクニックのつづきをすることにしました。きてください。」
さあ、どんなピクニックになるのでしょう。。。
じゅうたんの上に、お弁当を広げます。いかだで漂流しているみたいねとお母さん。その言葉に、子供たちは、漂流ごっこしようと、大喜び。じゅうたんはいかだ。じゅうたんの外は海です。
「しっかりつかまって。海に落ちるわよ。」 お母さんが声をかけます。

子供はごっこ遊びが大好きです。お母さんごっこ、お店屋さんごっこ、幼稚園ごっこ、お医者さんごっこ。冒険ごっこ。旅行ごっこ。いろいろな人物になりきって、空想の世界で遊びます。
ごっこ遊びの時には、私達大人も、恥ずかしがらずに、なりきるのが大切です。ティモシーとサラのお父さん、お母さんのように、子供達と一緒に想像の世界に入りこんでみませんか。
子供達は、そんなお父さんお母さんが大好きです。
きっと子供達のとびっきりの笑顔が見られることまちがいなしです!
いつものご飯を、お弁当箱につめて、テーブルではなく床の上に広げて食べるだけで、まさに気分はピクニック!いつもとは違う雰囲気に、話がはずみ、想像力も膨らみます。
新しいごっこ遊びに展開するかもしれません。
雨でも夜でもできる、おうちピクニック。是非、試してみて下さい。

100かいだてのいえ

今回は、先日本屋さんで一目ぼれして購入してきた絵本をご紹介します。
梅雨の一日、この絵本をきっかけに、お子さんと一緒に「住みたい家」の絵を描いて過ごすなんて、いかがでしょうか。

100かいだてのいえ
いわいとしお・さく
偕成社 1200円+税

星を見るのが大好きなトチくんに、ある日、こんな手紙が届きました。
「ぼくは、100かいだての家のてっぺんに住んでいます。遊びに来て下さい。」
「だれからだろう?おもしろそうだな!」
トチくんは、その家に行ってみることにしました。
「この家には、10階ごとにちがう動物がすんでいるんだよ。」
トチくんは、リスからどんぐりのジュースをもらって飲んだり、みつばちの部屋の模様替えを手伝ったりしながら、上へ上へと上がっていきます。次の階には、だれが住んでいるのでしょう?

きれいな色がたくさん使われている、とても楽しい絵本です。
各部屋が丁寧に描かれているので、一部屋一部屋じっくり眺めて、楽しんで下さい。
次はどんな部屋かしらと、わくわくします!
作者の岩井俊雄さんは、現在ふたりの娘さんの父親として、書籍やブログを通して親子の創造的な関係を広めようと精力的に発信している方です。
インターネットをされる方は、「みんなの100かいだてのいえ」で調べてみて下さい。
偕成社のHPでは、この本にちなんで、全国から「じぶんが住みたい家」や「動物たちが住んでいる楽しい家」の絵を募集し、100階建ての家を作る企画がありました。(もう募集は終了してしまいましたが。)
たくさんのお友達の描いた家がつながって素敵な作品になっています。
子どもの想像力、創造力って、無限大だなと思います。
のびやかな絵を描く子どもの心、力、大切にしたいですね。
この絵本は、無限の力を秘めたお子さんの想像力と創造力を高めてくれる一冊です。
ぜひ、お子さんと一緒にじっくりと絵を味わいながら、100階まで上がってみて下さい。
さらにこれを機に、お子さんと一緒に楽しい家を描いてみませんか。

他にもう一冊、「ちか100かいだてのいえ」が出ています。こちらも、とってもお勧めです!

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